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Blender.org : 2018年に期待される Blender プロジェクト
投稿者 : yamyam 投稿日時: 2018年01月05日 (7149 ヒット)

元記事:Blender projects in 2018 to look forward to - blender.org

Ton Roosendaal 氏の記事の翻訳です。

blender.org のプロジェクトは優秀な人が集まり、非常に恵まれています ― 素晴らしい開発者たちが才能あふれるアーティストたちと共同作業しています。これが Blender が成功を収めた、高い機能性を持つフリー&オープンソフトウェアプロジェクトとして突出している理由です。
この記事では、素晴らしい Blender の一年が過ごせたことを皆さんに感謝し、2018年に起こるエキサイティングなことをすべてをお見せしようと思います(幸運を祈りつつ)。




Eevee


Blender が PBR レベルのクオリティでインタラクティブなビューポートを持つ。2016年では、それは単なるアイデアの一つにすぎませんでした。去年、予想を超えた方法で、このプロジェクトが飛び立ちました ― 今頃はもう皆さんがこのデモ集を見ていることでしょう。



2018年の初めにはアニメーション(とモディファイアー)が、目玉の OpenSubdiv(GPU ベースのアダプティブサブディビジョンサーフェス)とともに復活する予定です。

Eevee のロードマップはこちら(英文)


Grease Pencil(グリースペンシル)


この、3D環境での機能が揃った2Dアニメーションツールの提供、という領域では、Blender はパイオニアです。百聞は一見に如かず。アニメーターやストーリーアーティストにとって、それは夢のようなワークフローなのです。



2018年のQ1に2.8x の Grease Pencil の新しいワークフローとツールの概念実証として、短編“Hero”が完成する予定です。

最新の状況のレポートはこちら(英文)からどうぞ。


ワークフローと“Blender 101”


作業環境の最適化と構築により、3Dアプリケーション内でのワークフローを大幅に改善できる可能性があります。もはやすべての人を単一の Blender コンフィグレーションで幸せにすることはできません。ここが新しい Workspace(ワークスペース)と、Application Template(アプリケーションテンプレート)の担当になります。2018年のQ1とQ2に、完全にカスタマイズされたシンプルな Blender の最初のプロトタイプが制作される予定です(別名 Blender 101プロジェクト)。



その間、日常の制作環境のユーザビリティとコンフィグレーションへの作業が続けられます。Blender の最新オープンムービー“Spring”がそのために使用される予定です。

Blender 2.8x にもシーンをもっと先進的な方法で管理することができる、全く新しいレイヤーシステムが追加されます。一つのシーンは無限の(描画またはレンダリング用の)レイヤーと、無限のコレクション、コレクション毎のレンダリング設定とオーバーライド設定を持つことができます。

詳細は code.blender.org ブログ(英文)にてどうぞ。


新しい UI テーマ


や、ここにはまだ画像がありません。しかし、大量の更新のリリースの中のクールな物の一つに、見た目の更新があります。革新的な物は何もなく、単に見た目が新しくなり、最新のデスクトップ環境にマッチするようになるだけです。私たちはまだ2009-2010の(素晴らしい)デザインを使用していますが、コンピューターの歴史的には、これは1世紀前に相当します! この取り組みはQ1に開始し、Q2が終わる前には完成すると思われます。参加歓迎します(‘get involved’をチェックしてください)。


Cycles


2017年、AMD GPUの成功を見ました。1年間 OpenCL の作業をしていたフルタイム開発者のおかげで、Blender は AMD ハードウェアでのグッドチョイスとなりました。2018年はカーネルコンパイルの待ち時間の解決に取り組みたいと思います。



参加する開発者にとって、Cycles はトップレベルで人気のある領域になりました。Cycles がプロダクションレンダリングにおける優れた選択肢の一つとして留まり続けるよう、その大半は本業の一部として行われます。2018年は多数の高品質な、特に高速なレンダリングを実現するための方法が追加されると予測しています。

詳細はこちらの Cycles ロードマップをお読みください。


Blender Game Engine


Blender の優れた特長の一つが、3D制作スイートの完全な統合環境であることです。アーティストはプロジェクトをコンセプトから最終版または再生まで作成できるのです。
残念ながら、ゲームエンジンの開発は遅れています。開発の中心になることや、必要な開発時間がないからです。これには多くの理由がありますが、その一つが BGE のコードベースが Blender の他の部分とあまりにもかけ離れていることです。つまり、新しく追加された Blender の機能はこのエンジンで動作するよう移植する必要があるということです。



2.8プロジェクトでは、BGE と Blender 自身との統合を改善したいと思っています。すでに Eevee プロジェクトがリアルタイムツールの重要性と、これがインタラクティブな3Dデザインやゲーム制作にもうまく作用することを証明しています。

とはいえ、blender.org 外でも、Blender に関連した興味深いゲームエンジンが開発されています。例えば Blender フォークの UPBGE や、魅力的な Armory Engine(上の画像を参照。コードは HaxeKha で書かれています)をチェックしてみてください。また、オープンソースの WebGL 環境の Blend4WebVerge3D もお忘れなく。


アセットとプリセット


別の「2.8ワークフロー」関連の機能:ファイルと3Dアセットの管理を改善する取り組みを行っています。ある部分は複雑なプロダクションセットアップ用、またある部分は、綺麗な表示(例えばドラッグアンドドロップや選択可能な、シェーダーやプリミティブの画像のリスト)のプリセットを持つ Workspace の設定など。



詳細はこちらのBlender Asset Management & Static Override Planning(英文)にてどうぞ。


ビューポートコンポジティング


Blender の新しいビューポートシステムにおける重要な設計局面の一つに、各エンジンが専用のバッファに描画することがあります。そして描画後、これらのバッファはリアルタイムで合成されます。



それがどれぐらい速いかを説明すると、2.8x の“Overlay engine”は(選択やウィジェットの描画のために)ビューポートでリアルタイム合成を使用しています。

2.8x が beta を抜ける準備ができた時点で、ビューポートで(ノードベースの)リアルタイム合成を可能にする方法をチェックする予定です。その後に旧“Blender Internal”レンダーエンジンを OpenGL ベースのシステムに完全に置き換える最終段階になります。

これは特に世の中のノンフォトリアリスティックレンダリングのファンにとって興味深い物になるでしょう。注意:Freestyle レンダリングは2.8では完全に書き直しになる予定です。これはまだ未解決の問題の一つです。


モディファイアー&物理演算のアップグレード


Blender のモディファイアーコードは2.8用に完全に書き直されているところです。これは(アニメーション更新とデータ複製のスレッド化が可能な)新しい dependency graph(依存グラフ)システムで必要です。



この書き直しによるいい影響の一つに、全モディファイアーが「ノード化可能」になることがあります。2018年にモディファイアーノードの最初の実験が行われると予想しています。特に旧パーティクル&ヘアーシステムの複雑さがプロジェクトを非常に難しくしているため、まだあまり期待はしないでください。

関連する重要な課題の一つに、「キャッシュ」(モディファイアーや物理演算システムにより生成されたデータ)をどう処理するか、があります。これを適切に保存・管理する必要があり、これも依存グラフが上手く処理すべき物です。これが解決すれば、待望の Fracture Modifier ブランチをやっとマージできます。


アニメーションツール


Blender のアーマチュアとリギングシステムは90年代の設計を元にしています。これは確固たるコンセプトですが、そろそろリフレッシュとアップグレードの時間です。Blender 2.8x のベータが近くなったら、私(訳注:Ton 氏)はプロジェクトのまとめ(と資金調達)から、次の10年間 ― Animation 2020のための、アニメーションツール開発者の小さなチームの設立に専念したいと思います! 参加したい方は私にコンタクトを。


Discourse フォーラム


新しい開発者たちのオリエンテーションの改善は、すでに私たちのウィッシュリストに数年あります。改善すべき点はいくつかの領域で存在します。例えば提供されたパッチやブランチのレビュー処理の高速化など。



また、(IRC の)Blender developer チャンネルは見つけるのが難しい、またはアクセスしづらいという意見をよく聞きます。blender.org チームは今も主に IRC チャットと MailMan のメーリングリストをコミュニケーションに使用しています。

1月に(完全にフリー・オープンソフトウェアの)Discourseを使用した、専用の blender.org 開発フォーラムをテストする予定です。このフォーラムは Blender のコード、開発ツール、貢献者になることに関連する物などの作業している人々を対象にする予定です。もしこの実験的作業がうまくいけば、もっと一般的な“get involved” Web サイト(ドキュメント、教育者、科学者、Conference、イベント)に拡大することができます。
しかし、ユーザーの質問、機能リクエストはオフトピックになるでしょう。これにはすでにもっといい場所があります。


最初の Blender 公式リリースからの20周年記念


そう! 今日(1/1)は、最初のバージョンの Blender を公式リリースしたちょうど20年後なのです。Silicon Graphics IRIX プラットフォーム用だけでした。



FreeBSD 版と Linux 版は数か月後に作成されました。

この時はすべて「フリーウェア」で、オープンソースではありませんでした。私(訳注:Ton 氏)はまず完全にオープンにする前に、インターネットバブルがはじけることを学ばないといけなかったのです!


Blender 2.80 beta リリース


もともと今年のQ2を計画していました…ありがたいことにこのクォーターは7月1日まで残っています。すべて現在のプロジェクトがここ数か月間うまくいくことにかかっています。しかし、もし7月1日でダメなら、その時は少なくとも…


SIGGTAPH、バンクーバー


毎年恒例の最大の3DCGイベントが今年の8月12日?16日にあります。私たちはそこで強い存在感を示し、2.80ショーケースを、確実に素晴らしいマイルストーンとすることを目標としています!


未解決の問題


2.8チームは一度にあまり多くのことをせず、最高の使用感に取り組んでいる物を完成させるべく、集中し続けようとします。つまり、いくつかの件をまず最初に行い、他は後回しにするということです。2.8の優先順位はメインの開発者 ML へのこのメール(英文)に書かれています。

まだまだ多くの助けが必要です。遠慮せず連絡してください。特にワークフローやユーザビリティが皆さんの長所です! 他にも多数の「迷子」の領域で貢献者が必要です。ブーリアン、ビデオエディター、Freestyle レンダー、パーティクル、物理演算のキャッシュ、ヘアー、NURBS…また、Windows と MacOS デスクトップ環境との融合の改善の取り組みなど。


クレジット


blender.org のプロジェクトの重要な部分の一つが、Blender に貢献するスタジオや企業です。

次の団体の皆様に特別に感謝します:Blender Foundation(Development Fund 助成金)、Blender Institute / Animation Studio(3?5人の開発者の雇用)、Tangent Animation(ビューポート開発)、Aleph Objects (Lulzbot プリンターより、Blender 101の支援)、Nimble Collective (Alembic)、AMD(Cycles・OpenCL 支援)、Intel(ハードウェア提供、Cycles 開発)、Nvidia(ハードウェア提供)、 Theory Animation、Barnstorm VFX(Cycles 開発、VFX パイプライン)。

また、Development Fund に多大なる支援いただいた次の方々にも特に感謝します: Valve Steam Workshop と Blender Market

Ton Roosendaal, Chairman Blender Foundation


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