2020年の Blender 開発者 Top20

投稿日時 2021年01月06日 | カテゴリ: 技術・開発関連

openvdb_combined_edit.mov元記事:Top 20 Blender Developers In 2020 ? blender.org

Christian Bunyan 氏の記事の翻訳ですが、前置きが少し長めなので勝手ながら割愛させていただきました。

多くの人にとって、2020年は破滅的な年でした。年の初め、Blender Foudation はコアな Blender 貢献者向けのワークショップや、LA でのカンファレンス、その他多数の活動の準備を行っていましたが、そのすべてがキャンセルや順延になりました。

(中略)ここではコミット数に基づいた、Blender のトップ20の開発者たちをご紹介します。実際この基準を含め、すべての判断基準に議論の余地があり、私たちも議論しましたが、最終的に広範囲に及ぶ Blender のチームによる努力に敬意を表するには、コミットのカウントが最もフェアな方法ではないかということになりました。

(中略)では2020年にコミット数の多かった開発者の上位20名を下から順にご紹介していきましょう。



20. Dalai Felinto 氏、ブラジル (84)


Dalai 氏はアムステルダムから Blender の開発の調整を行っています。また、Blender Development Blog にて、技術的なことすべての記事も投稿しています。氏のブログを読んだ、または Blender Today のライブで観た方はご存じだと思いますが、Dalai 氏は Blender に欠かせない人の一人です。



Dalai 氏がコーディネートした Everything Nodes プロジェクトの使用例。これは Jacques Lucke 氏(下記参照)のおかげでもあります。



19. Nathan Craddock 氏、USA (92)


若く才能あふれる Nathan Craddock 氏は、まだ Brigham Young University にてコンピュータサイエンスの学位に忙しい学生です。Blender では、アウトライナーをずっと改善してきました。これは氏が2019の Google Summer of Codes の一部を含め、数年間コミットしているプロジェクトです。



アウトライナーでのモディファイアーのドラッグアンドドロップ



18. Richard Antalik 氏、チェコ共和国 (108)


Richard 氏はビデオシーケンスエディターの作業をしています。氏のハードワークのおかげで、実際にVSE は急速に進化を遂げ、有料ツールの代替として新たな高みに到達しました。2021にも、これらの改良は続く予定です。VSEは Blender の重要な機能の一つです。


17. Ray Molenkamp 氏、カナダ (151)


Ray 氏、別名 LazyDodo 氏はプラットフォーム保守者として従事しており、Blender のライブラリに関与しています。Blender には2016年から参加、チャットチャンネルに入っている方なら、ウィットに富んだ冗談を散りばめつつ、超広範囲の問題の解決を助ける氏のやる気に親しみを覚えるに違いありません。


16. Aaron Carlisle 氏、USA (156)


Aaron 氏は Blender マニュアルのマスターの一人で、真の専門知識を目標とし、Blender の多くの曖昧さを明瞭化しています。氏はどのバージョンの Blender がそのユーザーに適切かを決める手助けから、バグ報告のプロセス改善までとあらゆることについて、ほぼ一年かけて Blender の細部についてコミュニケーションを取ってきました。


15. Philipp Oeser 氏、ドイツ (246)


Philipp 氏は2016年末にも同様のリストにて、83コミットで取り上げられました。4年後、氏は3倍近いコミット数が記録されています。Philipp 氏はバグのトリアージングマシンとなり、この Blender 開発の重要な一面に有益な貢献をしてきました。



Robin Tran 氏による2.91用スプラッシュ。これは2020年の4つのリリースのうちの一つで、Blender 開発者たちのハードワークにより可能となった物です。



14. Jeroen Bakker 氏、オランダ (249)


アムステルダム生まれのシニアソフトウェアエンジニアである Jeroen 氏は Blender のビューポートの改善に携わっています。2020年の Jeroen 氏の一番のヒットは、UV/画像エディターのパフォーマンスを大幅に改善する大好評のパッチです。


13. Sebastián Barschkis 氏、ドイツ (263)


Sebastián 氏はアムステルダムで働く物理演算の開発者です。今年の氏の大きな話題といえば、Mantaflow でしょう。Blender への Mantaflow の統合により、アーティストは炎や爆発、流体シミュレーションのすべてを想像が要求するままに作成できるようになりました。Sebastián 氏は休むことなく、Blender の Mantaflow 機能を更新しています。2.92(アルファ)では APIC と呼ばれる、新しいシミュレーション方法を導入しました。



Open VDB 実行中、ファイルは JangaFX 氏作



12. Julian Eisel氏、ドイツ (294)


Julian 氏は Blender Institute のソフトウェア開発者です。氏は VR 機能のリード開発者と、UI モジュールオーナーの両方です。Julian 氏は Blender のすべての面において理解を簡単にするための支援の一部と、ワークフローの改善を行っています。これにはチェックボックスの分割の対応の改善から、ノード入力ボタンの刷新といった、明確化のための多数の調整も含まれています。
Blender の多種多様なオプションを見て、一目でどこを見ればいいのか魔法のようにわかるのであれば、それは Julian 氏が携わっている所為かもしれません。



VRによるシーン閲覧、Blender 2.83にて導入。作品は Dedouze 氏作



11. Germano Cavalcante 氏、ブラジル (315)


別名“mano-wii,”氏としても知られる、非常に生産性の高い Germano 氏は、(他の多くの物のうちで)スナップツールに情熱を注いできました。スナップギズモから頂点スライドの完全なスナップまでのそのすべてを見て、皆さんは Germano 氏がモデラーのため、精度の向上に一役買っていることを確信できるでしょう。


10. Pablo Dobarro 氏、スペイン (350)


Blender のツイッターの熱狂的なファンならわかるでしょうが、このマルチタレントのアーティストかつ開発者は、Blender のスカルプトモードをブーストさせてきました。
クロスブラシや、マルチレゾリューションモディファイアーの完全対応ですべてのサブディビジョンレベルでのスカルプティングを可能にするなどのイノベーションにより、Pablo 氏は Blender のスカルプティングワークスペースとツールセットを、最高の細分化スカルプティングシステムに変える最先端にいます。




メッシュを操作する直感的で新しい方法の一つ、スカルプトジェスチャ。2.91にて導入



9. Antonio Vazquez 氏、スペイン (370)


グリースペンシルをシンプルな注釈ツールから現在のような、Blender 内蔵の、おまけに3D機能も備えた本格的な2Dアニメーションワークスペースにまで成長させるなんて誰が考えるでしょうか。
少し前には、さらにグリースペンシルのマテリアルにライティングを使用する機能まで追加されました。グリースペンシルのリード開発者かつチームのまとめ役として、Antonio 氏はこれらの変化に大きな役割を果たし、ユーザーをイラストレーションやアニメーションを行う新しい方法で手助けしてきました。



2020年グリースペンシルに追加された多くの機能の一つ、ホールドアウト



8. Sergey Sharybin 氏、ロシア (389)


Sergey 氏も Blender 開発のスーパースターの一人です。プリンシパルソフトウェアエンジニアとしてアムステルダムで働いており、毎度ながら Sergey 氏は広範囲の部分で貢献しています。今年は Blender の長年の依存グラフのスピードアップと、コアの開発(Blender のカーネル、ファイル入出力、DNA/RNA システム、Undo など)、スカルプティングや VSE のレビューに携わってきました。さらに、モーショントラッキングを新たな高みに押し上げました。


7. Sybren A. Stüvel 氏、オランダ (398)


Sybren 氏は Blender をほんの少しでも追いかけた人ならご存じでしょう。今年は、アニメーションと入出力をパワーアップさせる手伝いをしました。特に入出力では、Alembic 機能のリファインと、USD の開発に携わってきました。さらにその上、Sybren 氏は Sergey Sharybin 氏に取って代わり、Linux プラットフォームの保守者となりました。ちなみに、Sybren 氏は Blender Cloud にて、アーティスト向けの徹底的なスカルプティングコースも行っています。


6. Hans Goudey 氏、USA (398)


氏の多くの魅力的な作業の中で、Hans 氏はプロパティ検索と新しいモディファイアーレイアウトに関わり、ノードの改善を支援してきました。その中には壮大な次世代プロジェクト、Everything Nodes の最初の部分となる、ジオメトリノードも含まれています。



どこに設定があるか思い出せないだって? Blender 2.91には検索があるよ!



5. Brecht Van Lommel 氏、ベルギー (517)


Blender の歴史において、Brecht 氏は Cycles への取り組みで名を残してきました。今年も氏はアムステルダムの Blender の本部において Cycles の作業を続けており、さらにボリュームオブジェクトにも携わってきました。最後に重要なことを付け加えると、Brecht 氏は2.8プロジェクトでのリードアーキテクトに任命されており、今年の開発者主導のプロジェクトのほぼすべてのレビューと指揮を行う役割を担っています。Brecht 氏に敬意を。


4. Bastien Montagne 氏、フランス (637)


元々 Bastien 氏は雑誌で Blender と出会いました。そして数年後、氏はアムステルダムチームのメンバーとして実際に Blender をビルドすることになりました。2020年、氏はライブラリオーバーライドと Blender の Undo システムに多大な努力を費やしてきました。Bastien 氏の注力により、マテリアルやモディファイアー、コンストレイントのような複雑な領域でもオーバーライド可能になり、Blender ユーザーのストレスレベルを軽減しました。


3. Clément Foucault 氏、フランス (694)


Clément 氏は Eevee、特に人気のモーションブラー機能のリファインに大きく携わってきました。また、Eevee は他にもヘアーの透過、コンポジティング用のレンダーパス、影や透過の改良、Sky(背景)テクスチャの追加など、多数のアップグレードを経験してきました。Clément 氏は(Eevee を含む)ビューポート描画の Vulkan への移植作業も開始しました。これは将来的に業界標準となる物で、ビューポートでのリアルタイムレイトレーシングや、そしてうまくいけば、MacOS への対応をもたらします。



過去12か月で Eevee は大きくアップグレードしました。これは新しい Sky テクスチャの実行画面です



2. Jacques Lucke 氏、ドイツ (718)


Jacques 氏は Blender の大プロジェクトの一つである、Everything Nodes の一部である、ジオメトリノードに取り組んでいます。名前が示す通り、Everything Nodes は Blender のすべての部分をノードを通じてコントロールできるようにし、多数の柔軟性と新しい創造力の可能性を開く方法を模索する物です。Jacques 氏はその中心人物です。また、氏はボリュームオブジェクトモディファイアーの開発にも携わっていることもお忘れなく。皆さんは新しい雲や炎のエフェクトに取り組んでいませんか? これらは Jacques 氏の献身によって作成されているのです。



UI のあいまい検索。2020年に導入された多数の UI の調整の一つ



1. Campbell Barton 氏、オーストラリア (1522)


鬼のようなコミット数により、堂々の一位は Campbell Barton 氏です。Campbell 氏が Blender に関わったのは…ずっと前です。数年(そして十数年)、Campbell 氏は Blender のすべての部分にわたり、非常に多くの貢献を行ってきました。そして2020年も例外ではなく、氏の最大の努力はコア開発(Blender カーネル、ファイル入出力、DNA/RNA システム、Undo)に向けられていました。Blender の DNA は Campbell Barton 氏の一部だといっても過言ではありません。





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