Blender 2.7x→2.80移行に役立つかもしれないガイド
投稿日時 2019年08月25日 | カテゴリ: Blender 2.8
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Blender 2.80が公式リリースされてしばらく経ちましたが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。 Blender 2.8 Alpha2での新機能と変更点まとめその2で少し書きましたが、旧2.7xユーザー向けに、Blender 2.8x 移行のガイドを執筆しました。結構長文かつ既出の部分もありますが、お役に立てば幸いです。
■旧ファイルの読み込みについて 2.79以前の旧バージョンの Blender で作成した、多数の「シーンレイヤー」にオブジェクトを設定していた .blend ファイルでは、2.80で読み込むとすべてコレクションに変換されるため、アウトライナー上がとても華やかになってしまいます。読み込み前にレイヤーを整理しておいてください。 旧ファイルの「グループ」はシーンとは独立した、.blend ファイル直下のコレクションに変換されます。そのため、アウトライナーでは「Blender Files(Blenderファイル)」(もしくは「Orphan Data(孤立データ)」)ビュー以外から見えなくなります(ただし通常は、旧ファイルではすべてのオブジェクトがいずれかのシーンレイヤーに属しているため、オブジェクト自体が見えなくなることはありません)。 読み込んだファイルのUIは、2.7x以前の物(ヘッダーが下側にある、ワークスペースの一部がない)になります。もし新しいUIにしたい場合は、再び File(ファイル)メニュー→Open...(開く...)でファイルブラウザを開き、「Load UI(UIをロード)」のチェックをOFFにしてから、ファイルブラウザの[Open Blender File](Blenderファイルを開く)ボタンをクリックしてください。
■用語の変更について Lamp(ランプ) Light(ライト)になりました。まあこれはわかりますよね。 Dupli-Faceなど(?複製) ? Instance(? インスタンス)になりました。 なお、通常の複製ツールである「Duplicate」(複製)、「Duplicate Objects」(オブジェクトを複製)、「Duplicate Linked」(リンク複製)はそのままです。
■UIの変更について
●右クリック選択→左クリック選択(デフォルトキーマップ) 従来の Blender の特徴であった「右クリック選択」が、多数のアプリのスタンダードである「左クリック選択」になり、右クリックは「コンテクストメニュー」(従来の[W]キーメニューに相当)になりました。この変更に伴い、他のショートカットキーにも変更があります。 3Dカーソル配置は[Shift]+右クリックになりました。 各ペイントモード時の選択(面選択モードなど)は基本的に[Shift]+左クリック(複数選択のみ)ですが、Weight Paint(ウェイトペイント)でのボーン選択では[Ctrl]+左クリック(単一選択)も利用可能です。 ノードエディターでのリンクカットは[Ctrl]+右クリックです。左クリックではないことに注意してください。
●その他のショートカットキーの変更 他にもショートカットキーの変更はあります。 アニメーション再生がデフォルト設定では[スペース]キーになっています。従来の[Alt]+[A]キーは全選択解除になりました。そして従来[スペース]キーに割り当てられていた「オペレーターの検索」は[F3]キーになっています。 [A]キー(全選択)はトグルではなくなりました。ただし素早く2回押すと全選択解除になります。プリファレンス→Keymap(キーマップ)タブ内の「Select All Toggle」で以前の挙動に戻すこともできます。 Edit Mode(編集モード)時の頂点・辺・面選択モードが[1]、[2]、[3]キーになりました。 ちなみに Emulate Numpad(テンキーを模倣)使用時はビュー変更が優先されてしまいますので、このオプションを使用していた方は別のショートカットキーをプリファレンスから設定するか、どちらかをアイコンクリックでまかなう、またはテンキーを調達する必要があります。
●User Preferences(ユーザー設定)→Preferences(プリファレンス) 名前の変更自体は大したことではありませんが、内容が色々と変わっています。 「Edit」(編集)メニューからアクセスするようになりました。 設定カテゴリーのタブが左ペインに移動し、カテゴリーとその内容も変更されています。 デフォルトでは変更は自動保存(Blender本体終了時に保存)になっています。左下にある[≡]ボタンの隣に[Save Preferences](プリファレンスを保存)ボタンがあれば手動、なければ自動保存です。
●Screen(スクリーン)→Workspace(ワークスペース) 従来スクリーンと呼ばれていた、ヘッダーで作業画面を切り替える機能は「Workspace(ワークスペース)」になりました。 リストボックスからタブに変更されてアクセスが簡単になり、さらにその内容に合わせてモードも自動的に変化します(Sculpting では「スカルプトモード」になるなど)。このことから、ワークスペースを切替えて作業するワークフローを想定して設計されているものと思われます。
●レイアウト機能の変更 各エディター(領域)の左上と右下の斜線がなくなり、ここでマウスカーソルが変わった時に分割・統合できるようになりました。新規ユーザーには右クリックメニューで分割・統合してもらえばいいという意図かもしれません。
●「オブジェクトモードをロック」について 2.8でキャラクターのリグをポーズモードで触っている途中、他のオブジェクトが選択できなくて困ったことはありませんか?
これは新しくデフォルト設定された、「オブジェクトモードをロック」オプションが原因です。煩わしいなら、「Edit(編集)メニュー→Lock Object Modes(オブジェクトモードをロック)」をOFFにしてしまいましょう。
ただこれは「スタートアップファイル」に設定されていますので、今後も新規作成ごとに設定する必要があります。そのため、次の手順でOFFにした設定を維持するといいでしょう。
1. Blenderを立ち上げるか、File(ファイル)メニュー→New(新規)→General(全般)を実行します。 2. File(ファイル)メニュー→Defaults(デフォルト)→Save Startup File(スタートアップファイルを保存)を実行します。ユーザーフォルダーの「2.80→config」内に、「startup.blend」が生成されているはずです。
ちなみにこのモードをONにしたままでも、ウェイトペインティングは可能です。「Object Mode」(オブジェクトモード)にて「アーマチュア→メッシュ」の順で選択後、Weight Paint(ウェイトペイント)モードに入れば、自動的にアーマチュアがポーズモードになります(ボーンの選択は上記通り[Shift]または[Ctrl]+左クリック)。
■コレクション シーンレイヤーとグループ機能が統合されました(リリースノート)。 従来の「シーンレイヤー」同様に表示の切り替えはアウトライナーで行えます。従来グループで行っていた複製(インスタンス化)も Add(追加)メニューなどから行えます。
以下の注意点があります。 「■旧ファイルの読み込みについて」でも前述しましたが、従来のグループは「シーンとは独立したコレクション」となります。プロパティエディターの Object(オブジェクト)コンテクスト→▼Collections(コレクション)の「Add To Collections(コレクションに追加)」の隣の[+]ボタンから追加された「新しいコレクション」も同様に処理されます。 「どうせ1シーンしか使用しないから判りやすい方がいい」という方は、「Blender Files(Blenderファイル)」ビューで、元グループだったコレクションを他のコレクションの下に移動した後、「View Layers(ビューレイヤー)」ビューで、「Scene Collection(シーンコレクション)」の下に移動しましょう。もしくはアウトライナーを二つ開け、直接移動してもかまいません。 アウトライナー内で、現在属しているコレクションからオブジェクトを除外するには、右クリック([W]キー)メニュー→「Unlink(リンク切断)」を使用してください。 2.80の時点では、ライトの効果を特定のコレクションに限定することは Eevee も Cycles もできません。
■Eeveeレンダーと旧Blender Internal(Blender内部)レンダーの違い Eeveeレンダーは旧 Blender Internal レンダー(以下BI)を置き換える、新しいレンダラーです。 移行に際して次の注意点があります。 マテリアルが Cycles と共通(ただし2.80時点では利用不可なノード(英文)があります)。 反射は Render(レンダー)コンテクストの▼Screen Space Reflection(スクリーンスペース反射)をONにする必要があり、スクリーンから見えない部分を補うには、さらに Light Probe(ライトプローブ)オブジェクトの Reflection Plane(反射平面)や Relection Cubemap(反射キューブマップ)を使用する必要があります。 屈折はさらにRender(レンダー)コンテクストの▼Screen Space Reflection(スクリーンスペース反射)→Refraction(屈折)と、屈折させたいオブジェクトのマテリアル側の Refraction(屈折)オプションをONにする必要があります。 2.80正式リリース時点で反射と屈折が同時にできるようになりました。Reflection Plane(反射平面)を使用してください。 影はデフォルトの ESM 方式と、VSM 方式が選択でき、一般的には前者の方が高品質ですが、影と投影するオブジェクトが接する部分が薄くて消えてしまうという問題があります。さらに、コンタクトシャドウという、細部の影を生成する方式もあります。 繰り返しになりますが、ライトの照射対象を一部のオブジェクト限定にすることができません。 受けた影だけをレンダリング(シャドウキャッチャー)は工夫が必要です。下記参照。
●影のみを落とす(シャドウキャッチャー) 以前の記事では無理だと書きましたが、Schillem 氏の動画で紹介されているテクニックで可能です。
要は「ShaderToRGB」(シェーダー→RGB)ノードと、「ColorRamp」(カラーランプ)ノード、「Transparent BSDF」(透過 BSDF)ノードで影以外を透過させます。
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