Ton 氏の SIGGRAPH 2018 レポート

投稿日時 2018年09月04日 | カテゴリ: Blender.org

元記事:SIGGRAPH 2018 Report ? blender.org

Ton Roosendaal 氏の記事の翻訳です。



湖の北側からのバンクーバーの中心街の風景。ここのホテルはまだお手頃です(ヨットは除く


毎年恒例の SIGGRAPH への旅で、再びバンクーバーにやってきました。大好きな場所です。若く活気のある都市で、見事なスカイライン、しかし過去5年間で価格が倍になったという欠点もあります。Airbnb やホテルなどでの、ここでのクルーひとりの1週間の滞在費は高額になるでしょう。それが今年ブースをスキップした原因の一つです。

これで SIGGRAPH 20回連続参加になりますが、いつもどおり素晴らしい滞在でした。ここは一年に一度、旧友たちと会える場所なのです。そんな楽しみとは別に、皆さんに感想のリストをお届けします。





Ton Roosendaal による Blender Birds of a Feather、Foundation - Community meeting



Birds of a Feather


今年はメインスケジュールブックレットに Birds of a Feather(ファンの集い)イベントはなく、代わりに裏の一ページに「スケジュールと場所はオンラインでご確認を」と書いてあるだけでした。
私たちのイベントは BoF ルームという表記すらない、ホテルの一室に割り当てられました。明らかに軽視されています。SIGGRAPH が BoF の概念に苦心していることは承知していますが。

(BoF の約1/3の)オープンソースプロジェクトにとって、これはイベントをスケジュールに入れる唯一の方法です。しかし、(スカウト業者、商用ソフトウェアによる)不正利用もあり、ある意味カンファレンス内で平行して行われるカンファレンスの類になります。私は今後この件がどうなるのか気になっています。

Blender BoF には、参加者が短い時間に自分のことと職業、Blender でしていること(または知りたいこと)を紹介する古い伝統があります。再び他の分野(Netflix や Amazon、NASA、Microsoft、Sidefx など)からのビジターも来ました。

私のトークでは(素晴らしい Code Quest コレクションからコピーした)動画を多数使ったため、簡単にはスライドとして共有できません。基本的に本当のニュースは何もありませんでした…“Dev Fund 2.0” プロジェクトの告知以外には。私たちは Development Fund の大幅な促進、特にメンバーがもっと認知されることに取り組んでいます。9月半ばには立ち上がる予定です!



Birds of Feather に出席する Ton Roosendaal


二つめの BoF は David Anrade 氏主催の “Blender Spotlight” です。参加者のメンバーは部屋の前側に招かれ、Blender でしていることを披露しました。
夕方には David 氏のサプライズで、Theory Studio の洋上ディナーに招待されました!

自分用メモ:多分 BoF の記録は次回…


ミーティング・セッション


  • 3D Artist Magazine と会いました。彼らは数年 Blender を非常に多く取り上げてくれています。双方で Blender 2.8をテーマにした号を用意することを確認しました。

  • 中国の Original Force スタジオの CEO と会いました。彼らはすでに少し Blender を調査してはいますが、まだ先に進んでいません。その後彼とさらに二回、氏の CTO と共に会っており、大規模なスタジオ(1400人)による、Blender に対する主張をとても興味深く聞きました。恐らくいいトレーナーまたはアーティストたちを送り込むのが一番だと思われます。話し合いは今も継続中です。

  • 友人の巨漢(2m)である Jos Stam 氏と話をしました。氏は今年 SIGGRAPH アカデミーメンバーシップを授与され、さらに ― Autodesk を去ったとのこと。

  • Nvidia の基調演説は本当に楽しく視聴できました。CEO の Jensen Huang 氏は90分間、参加者をくぎ付けにしました。氏が使った一番のテクニックは、すべてを一つのメッセージ「リアルタイムレイトレーシング」を中心に集めたことです。

  • 基調演説の次の日、私は9人(!)の Nvidia プロダクトマネージャー・エンジニアと1時間会議を行いました。もちろん、たった一つの話題、Blender で Optix と MDL を動かす方法についてでした。会議は良い結果に終わり、実り多い時間でした。Nvidia はまだこの件を内部で承認する必要があるため、今はこれ以上私の口からは言えません。

  • Blender が Academy Software Foundation の公式メンバーになる予定です! それを実現してくれる Linux Foundation の代表者と今会いました。

  • Jon Peddie 氏の誘いで、氏の有名な毎年恒例のランチ会でパネラーの一人になりました。題目は「バーチャルスタジオ」です。


  • その後トレードショーに行きました。AMD ブースにて Blender が目立っていました。





    AMD ブースのシアターにて Blender のデモを披露している Mike Pan 氏




    ショー入り口の右側の AMD ブースに常設の Blender デモステーション



  • Oculus の代表者と会いました(私がずっと前から知っていた人が職を変えていました )。VR オーサリング関係のプロジェクトのセットアップについて議論しました。

  • AMD の友人たちといい会議を何度かしました。ハードウェア配布(Threadripper 2 には特別に取り組みが必要なスレッドバランスの問題があります)の傍ら、開発者支援の更新についても議論しました。詳細は追々。

  • Intel と二つのミーティングを行いました。これも Blender Conference Sponsering(Intel がメインスポンサー!)の詳細をチェックするためでしたが、Development Fund 加入の空気も作りたいと思っていました。

  • Wacom とのミーティングもクールでした。彼らはいつも Blender をよくサポートしてくれており、必要な事ならなんでも頼めます。特に Blender 内における、Grease Pencil と2D/3Dアニメーションツールの高まりもあり、Blender ユーザーにとっていいタブレットの対応は必要不可欠です。Wacom は Grease Pencil を気に入っており、彼らのチャンネル(と、ショーでの彼ら自身によるデモ)で共有できるデモファイルを共同で制作する予定です。

  • ロンドンの Lucas Arts で、Jurassic World のコンセプト制作に Blender を使用しているという人物と会いました。この件について Blender Conference でプレゼンを行ってもらえるようにしてみるつもりです。

  • Khronos の Neil Travett 氏と長話。彼らは実際に現在、Blender 開発に資金援助をしてくれています(glTF exporter)。また、氏は Vulkan への移行についても楽しみにしているようです ― この件のプロジェクトの計画を立ててもいいかもしれません。さらに氏は Apple の Metal と Vulkan にいい互換ライブラリが出ることも知っています。Apple ユーザーの皆さんはその時になっても心配は無用です!


  • この後、私は Sketchfab(フリーの3Dモデルインポートアドオン)、Lulzbot プリンター(解像度が大幅に向上)、Adobe Dimension(Blender アーティストが多数派)、Nimble Collective(アニメーション・リギングツールについての支援に興味)、Epic Games(私たちへの支援に興味)についてメモしましたが、これぐらいにしておきます。

    最後に一つだけ。2、3年前、私はようやく Blender が業界内で真剣に受け取られていることが判りました。そして今回の SIGGRAPH で、初めて人々が私たちとビジネスをしたいと思っていることに気づきました。これは新たなマイルストーンです。

    Ton Roosendaal
    Chairman Blender Foundation





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