2016年の Blender 開発者トップ30

投稿日時 2017年01月20日 | カテゴリ: Blender.org

元記事:The top 30 Blender developers 2016 - blender.org - Home of the Blender project - Free and Open 3D Creation Software

Ton 氏による記事の翻訳です。

※注意:元記事は昨年末に投稿されたものですので、記事中の今年は「2016年」であることに注意してください。
また、画像はサムネイルのみです。大きな画像をご覧になりたい方は元記事を参照してください。

去年の非常にアクティブな Blender 開発者たちに再び祝福・賛辞を送りましょう(訳注:去年は未翻訳)。このランキングは Blender 本体とその全ブランチへのコミット総数を元にしています。

コミット総数にあまり意味はないのは明白ですが、それでも Blender を作成する人たちにスポットライトを当てるにはいい方法です。
「30」という数字も意味はありません。単にこれ以上追加したくなかっただけです! リスト後半にしたがってコミット数(訳注:括弧内)が多くなっています。

統計のリスト化にあたり、Miika Hamalainen 氏に感謝します。

Ton Roosendaal, Blender Foundation chairman.
2016年12月31日



Joey Ferwerda 氏 (28)


openhmd-logo2016年、Joey 氏(オランダ)は Blender のビューポートにリアルタイム VR ビューを追加する作業をしていました。これは Oculus で動作し、Vive も近日対応の予定です。

現在、氏は現存の全ヘッドマウントディスプレイに対応するオープンソースライブラリ、OpenHMD の作業中です。



Luca Rood氏 (30)


私の記憶によると、Luca 氏(ブラジル)はこのリストでは最年少です。19歳という年齢とともに、氏のシミュレーション技術の深い知識と、修正のために Blender の古い Cloth(クロス)のコードにダイブする勇気は、皆に感銘を与えています。

現在、Luca 氏は開発ファンドの支援を受け、クロスシムを改良し、高品質のキャラクタアニメーションに耐えうる物にすべく働いています。



Gaia Clary 氏 (32)


ColladaGaia 氏(ドイツ)は Blender の COLLADA の保守者です。Blender でのこの作業を維持する氏の永続的なエネルギーにより、私たちは2.8でも COLLADA 対応を維持できるのです。



Martijn Berger 氏 (40)


Martijn 氏(オランダ)は2016年、Windows と MasOS でのプラットフォーム保守者として活躍してきました。氏はリリースの作成、特に Windows と MacOS のバイナリのダウンロードの安全基準に準拠させるための補助をしています。



Antonio Vazquez 氏 (41)


Antonio 氏(スペイン)は Grease Pencil(グリースペンシル)の作業をするためチームに参加しました。Daniel Lara (Pepeland)氏のフィードバックと指導を元に、この Blender 内での注釈ツールを、2Dアニメーションとアニマティックストーリーボード作成ツールに育て上げる手伝いをしました。



Ray Molenkamp 氏 (46)


Ray 氏(カナダ)は2016年にチームに参加、Windows プラットフォームで、Microsoft の開発環境に対応した Blender の保守の手伝いのボランティアをしています。



Alexander Gavrilov 氏 (58)


Alexander 氏(ロシア)は2016年に開発チームに参加しました。最初の貢献は Weight Paint(ウェイトペイント)の修正でしたが、後に氏の興味は Cloth(クロス)と物理シミュレーション全般に移りました。

また、氏は定期的に Bug Tracker にて活発にバグ修正を行っています。



Sybren Stuvel 氏 (59)


Sybren 氏(オランダ)は Cloud 開発者(ショット管理、レンダーマネージャ、ライブラリ、セキュリティ)と、Blender のパイプライン機能(Blender のファイル操作、UI プレビュー、ポーズライブラリなど)の開発者として Blender Institute で働いています。



Joao Araujo 氏 (65)


Joao 氏(ポルトガル)は Blender の3Dカーブオブジェクトの作業を行うため、Google Summer of Code の助成金の承認を受けました。氏は Extrude(押し出し)オプションの改良と、Extend、Batch Extend、Trim、Offset、Chamfer、Fillet ツールを追加しました。

氏のプロジェクトはほぼ完了しており、2017早期にレビューに送られる予定です。



Benoit Bolsee 氏 (65)


Benoit 氏(ベルギー)は Blender のゲームエンジンの長期貢献者の一人です。2016年、氏は "Decklink" ブランチで作業を行い、業界トップのビデオキャプチャカードの一つに対応しました。



Pascal Schon 氏 (78)


Pascal 氏(ドイツ)は今年 Cycles チームに参加、Disney BSDF/BSSRDF の実装に貢献しています。

この新しい物理ベースのシェーディングモデルは少ないパラメータ数で幅広い範囲の素材を再現できます。



Nathan Vollmer 氏 (80)


Natha 氏(ドイツ)は GSoC の助成金の承認を受け、Blender の頂点ペインティングとウェイトペインティングに取り組んでいます。

新しい P-BVH 頂点ペインティングにより、特に細かいメッシュでのペインティング時のパフォーマンスが大幅に向上します。



Philipp Oeser 氏 (83)


Philipp 氏(ドイツ)は Blender の Bug Tracker でアクティブに活動しており、Blender の多数の領域での問題を修正しています。

この方法で Blender の品質に影響を与える貢献者はとても重要で、価値などつけられません。氏に賞賛を!



Phil Gosch 氏 (131)


Phil 氏(ドイツ)は Blender のUVツール、特に Pack Island(島を梱包)ツールに取り組むため、GSoC の助成金の承認を受けました。若干計算量が多くなるものの、新しいアルゴリズムによる解は旧 “Pack Island”に比べ、UV 空間の使用において非常にいい結果をもたらします。



Tianwei Shen 氏 (142)


Tianwei 氏(中国)は Blender のマルチビューカメラ再構築に取り組むため、GSoC の助成金の承認を受けました。これにより映画制作者は、別々の位置から撮影された一つの領域において、映像からより正確なカメラ位置情報を取り出すことができます。

氏の作業は完成しており、Blender に追加される日も近いです。



Thomas Dinges 氏 (144)


Thomas 氏(ドイツ)は最初、2.5プロジェクトの UI チームに参加し始めましたが、2011年の Cycles 開始後は、氏の時間のすべてをその改良の支援に費やしています。

氏の今年の貢献は主に CUDA GPU で使用可能なテクスチャの最大数の増加や、多くの場合でのメモリ消費量の削減といった、Cycles のテクスチャシステムへの取り組みです。



Dalai Felinto 氏 (192)


Dalai 氏(ブラジル出身、オランダ在住)は2015年、Blender にマルチビューとステレオレンダリングを追加しました。2016年は Cycles による VR レンダリングを可能にするのに貢献しました。

現在、Dalai 氏は(Clement “PBR branch” Foucault 氏とともに)Blender Institute にて Viewport 2.8 project の仕事をしています。詳細は https://code.blender.org の投稿をチェックしてみてください。



Martin Felke 氏 (199)


Martin 氏(ドイツ)はかなり昔からあり、非常に人気のある Blender ブランチ、“Fracture Modifier”ブランチの保守をしている、私たちの敬意と称賛を受けるに値する人物です。

技術的にも品質的にも、氏の成果はリリースに適していると判断されていませんでした。しかし Blender 2.8では、氏の成果がリリースされるよう、ようやく内部設計が更新される予定です。お楽しみに!



Mai Lavelle 氏 (202)


Mai 氏(アメリカ合衆国)は Cycles のマイクロポリゴンレンダリング対応パッチと共に降臨し、みんなを驚かせました。Cycles 開発者たちの疑念はすぐに変わり、その中の一人は「これは本当に素晴らしいコードだ!」と話しました。それがコーダーの口から発せられた場合、これは非常に大きな賛辞となります!

現在、彼女は Blender Institute にて Cycles の「Split Kernel(カーネル分離)」プロジェクト、特に OpenCL GPU レンダリングの作業をしています。



Brecht Van Lommel 氏 (210)


Brecht 氏(ベルギー出身、スペイン在住)は10年ほど Blender の作業を行っています。氏の最も思い出深い貢献は、2011年の Cycles レンダーエンジンです。

Cycles の作業の傍ら、Brecht 氏は Blender の UI コードの MacOS 版の保守を活発に行っています。



Joshua Leung 氏 (264)


Joshua 氏(ニュージーランド)は Blender のアニメーションシステムのコーダーです。氏は過去10年間に多数の新機能を Blender に追加しています(Grease Pencil など)。

2016年の Joshua 氏といえば、“Bendy Bones(ベンディボーン)” の追加でしょう。Jose Molina 氏と Daniel Lara 氏が始めたプロジェクトの一つです。



Lukas Stockner 氏 (277)


Lukas 氏(ドイツ)は2015年からの Cycles の新しい貢献者の一人です。氏は Google Summer of Code の助成金の承認を受け、Cycles のノイズ除去に取り組んでいます。

Lukas 氏の専門分野は数式の実装です。氏の2016年の最近のコミットの一つが、“Replace T-SVD algorithm with new Jacobi Eigen-decomposition solver(T-SVDアルゴリズムを新しいヤコビ固有値分解ソルバーで置き換え)” です。ぴったりでしょう!



Sebastian Barschkis 氏 (300)


Sebastian 氏(ドイツ)は GSoC の生徒の常連の一人です。現在、氏のブランチで改良版の流体シミュレーションライブラリ“Manta Flow”の作業をしています。



Mike Erwin 氏 (308)


Mike 氏(アメリカ合衆国)は今年 AMDにより、Blender の OpenGL の近代化の支援と、将来的に Vulkan に確実に対応できるようにするヘルプとして契約しました。

現在、Blender が OpenGL 3.2以降で動作するよう、Blender 2.8ブランチで作業しています。



Lukas Toenne 氏 (413)


Lukas 氏(ドイツ)は2014年から2015年に Blender Institute にてヘアーシミュレーションの作業をしていました。2016年はオブジェクトとパーティクル用のノードシステムの検証作業に戻り、レビューとこれを Blender に追加する方法についての案を書きました。

氏のコミットの大半は object-nodes ブランチ内に行われており、これは現在、増員するまで保留になっているプロジェクトの一つです。



Kevin Dietrich (516)氏


Kevin 氏(フランス)は2016年、主に二つの件の作業を行っています。ブランチの一つで今も、煙などのボリューメトリックデータを格納するための OpenVDB ツールの統合に取り組んでいます。

2.78リリースでの氏の作業は Alembic の入出力です。Alembic は映画やアニメーション用の様々な用途が入り混じるパイプラインに必要不可欠な物です。



Julian Eisel 氏 (760)


Julian 氏(ドイツ)はユーザビリティと UI の興味深いトピックの探索のみならず、そのための Blender のコードの解決もしています。すでにパイメニューやノード挿入など、多くの領域で貢献しています。

2016年の氏の活躍は、現在進行中の Custom Manipulators(カスタムマニピュレーター)の作業です。これは2.8ワークフロープロジェクトのトピックです。目標はビューポートに編集を復活させることです!



Bastien Montagne 氏 (1008)


Bastien 氏(フランス)は Blender Foundation で数年、フルタイムで働いています。氏は過去数年間における Bug Tracker のNo.1レビュアーとなりました。

しかし氏が特別に興味を持っているのはアセット管理です。氏は Blender のファイルシステムのエキスパートになり、2.8 Asset Browsing の作業を行っています。



Sergey Sharybin 氏 (1143)


Sergey 氏(ロシア出身、オランダ在住)はそろそろ Blender のNo.1貢献者となる模様です。氏はモーショントラッキング、Cycles レンダリング、Open Subdiv、最近では Blender の依存グラフの作業で特に有名です。

そしてもちろん、大量のバグ修正とパッチレビューを忘れてはいけないでしょう。Blender Institute が氏を雇用したのは幸運でした。



Campbell Barton 氏 (1156)


Campbell 氏(オーストラリア)は8月に blender.org での氏の役目から降りること告知し、みんなを驚かせました。氏はエネルギーを回復し、他の(自分自身の)プロジェクトの作業をするため、受けるに値する休養を取りました。

今でも氏は2016年の Blender のNo.1コミッターです。退職後も氏はコードを提供し続け、現在のコミット数は50を超えます。今年の注目すべきことは、Blender への高品質なブーリアンモディファイアーの追加です。





Blender.jpにて更に多くのニュース記事をよむことができます
https://blender.jp

このニュース記事が掲載されているURL:
https://blender.jp/modules/news/index.php?page=article&storyid=3921