T@tsuya氏とTon氏のSiggraph 2014レポート
投稿日時 2014年09月02日 | カテゴリ: Blender.org
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先日の Siggraph 2014に出席されたT@tsuya氏、Ton氏のレポートをご紹介します。
T@tsuya氏が毎年当サイトに投稿されているレポートです。軽妙な語り口でブースの雰囲気を書かれています。 ・世界最遅 SIGGRAPH2014 Blenderブース写真
そして Blender.org に投稿された Ton氏のレポートです。 プレゼン(PDF有)やトレードショーの様子と感想が書かれています。 ・Siggraph 2014 report - blender.org - Home of the Blender project - Free and Open 3D Creation Software
以下はその記事の翻訳です。
Birds of a feather(ファンの集い) 例年通り、私たちは両プレゼンテーションに参加する、120名を超える人々で部屋をいっぱいにしました。初回の佳境はやはりクールな、皆がどこから来たのか、Blender で何をしているのかを訊くところで、驚くような(映画)業界の出席者がいたりします(Image Engine、BMW、Digital Tutors など)。
私のプレゼンテーションのスライド(pdf)はこちらからダウンロードできます。
Tradeshow(トレードショー)
小さなブースをショーに持つことは、会議の開催や、普段出会わない多数の人たちとの接触に非常に便利です。新しい接点を探しまわらなくても、彼らはただ立ち寄ってくれるのですから。:) 以下は私のメモと、全体的な Siggraph の感想です。
- 今年は Krita Foundation の隣のスペースでした。もちろん、すぐさま壁を取り去り、30フィート(約9m)長の展示にしました! 最近の Krita には本当に感銘を受けます。いくつかの分野では確実に GIMP を追い抜いており、特に本格的な作業や制作では、アーティストチョイスとなっています。
- 今年も HP と CGCookie の支援を受けています。これにより、財政的にこの展示が可能となりました。多謝!
- OpenSubdiv を披露しました。そして(もちろん実際に)Blender が GPU OpenSubdiv をリリースで提供する最初の3Dツールです。Pixar の人々はこのことを非常に喜び、品質のフィードバックとともに賛辞してくれました(このいくつかの問題は、すでに私たちの開発者、Sergey Sharybin 氏が修正しています)。
- OpenSubdiv は今年、3.0で非常に重要なアップグレードを行う予定で、これは初期化を5倍(またはもっと)高速にするものです。
- Cycles ― 今年も私たちの最重要プロジェクトであり、VFX 用のインハウスレンダリングエンジンとしての評価など、業界関係者のニーズを満たすため、これを選ぶことに強い関心があります。これについてはこれ以上は言えませんが…。
- 何人かの出席者が Blender 101 project(教育目的に調整された、リリースに互換性のある Blender バージョン)に興味がある、または活発な支援について言及していました。今も大企業や教育機関による熱い視線が注がれています。これについてはもっと実現可能になった時点で投稿する予定です。
- パストレーサー! 最近は皆レイトレーサーを作成しますが、AMD は自身の OpenCL レンダーエンジン ― コードネーム「Fire Render」を誇らしげに披露していました。リリース日は未定です。AMD の窓口によると、彼らはこれを寛容なオープンソースライセンス、恐らくはさらにパブリックドメインでリリースつもりだそうです。
- このレンダーエンジンは高速で見た目もよかったのですが、彼らが主に披露していたのは、お決まりのスカイドーム付きの、床上でてかてか光る車でした。これは2011年の Cycles に似ており、プロダクションレンダーシステムに至る道のりは長そうです(もっとも彼らにそんな気があればですが)。
- AMD の OpenCL の進行状況は依然あいまいです ― しかし、全体的にはレンダーカーネルをもっと小さなパーツに分離してみるべき、というメッセージです。グラフィックカードには全く適していませんし、いずれにせよ、CUDA でも同様の問題がそのうち起こるかもしれません。
- このことについて Khronos の President とも長話をしてきました ― 氏によると、早々に諦めるべきでない、業界互換の OpenCL コンパイラには Cycles ビルドにそのような問題はないだろう、としています。つづく…。
- 一方、Intel も自身のレンダーエンジンを披露していました。Embree は驚くべきディテールにあふれたキャラクタのレンダリング画像を見せていました…ほぼリアルタイム、「普通」の16コア Xeon で! Intel の広報は私が知らないことに驚いていました…しかし少し後、私は私たちがすでに Embree の BVH を Cycles 内で使用していることを知ったのでした。
- Nvidia は私たちに Gooseberry の最終フレームのテストとレンダリング用の、15×8GPUシステムへのアクセスを提供するなど、さらに多くのリモートレンダリング(グリッド、「クラウド」)の提供を進めています。私たちはこれを追っかける予定です。
- 通りがかった Microsoft 開発者サポート氏 ― とうとう無料で MSVC Pro のライセンスキーをいくつか取得してみるという話が! 現在、最初の分がすでに終わっています。
- 興味深いオープンソースコンポジティングプロジェクト:Tuttle と OpenFX プラグインを使用した、極めて前途有望な(「Nuke スタイル」の)スタンドアローンコンポジター、Natron のリード開発者によるロングデモをやっていました。私は OpenFX を期待外れだと思いましたが…。このレベルのつまらない透かしのオーバレイは公にリリースすべきではないでしょう。
- ImageEngine (Neil Blomkamp 氏の FX ハウス) の人も私にオープンコンポジター、Gaffer に取り組んでいることを教えてくれました。これはまだ時間がなくて調べていません。
- X3D ― Web3D コンソーシアムが大所帯で通りがかりました。彼らはX3Dファイル(Web上の3D)の支援や、この方法による Web への公開が効率よく行える、インタラクティブ3Dコンテンツのオーサリング(ツール)促進のさらなる検討を継続してもらうため、熱心で説得力のある嘆願を行っていました。X3Dには表示エンジン(JavaScript WebGL など)をコンテンツから分離できるという恩恵があります…ちょうど .html がすべてのブラウザで互換性があるように。
- Presto! 仲のいい Pixar の社員氏が、このインハウスアニメーションツールの広範囲のデモを私たちにくれました。もちろん、これには OpenSubdiv Fur もあります(よし、作業再開!)。しかし最も驚いたことは、Presto のワークフローと UI コンセプト、メタファーでした…すべてが非常に親しみやすい(選択、UI 全体の反応など)と思いました。少し Maya にも似ており(以前はよかったのです ;))、実際、Blender のアニメーターはみんな数時間で Presto に精通すると思います。
総括 ― Siggraph はいつもどおり素晴らしく、Blender も依然、多くの人々の興味の中心にあり、業界のそばで着実に成長しています。私たちは本当に役に立つことをしており、去年に企業(Epic、Valve、Google、Nvidia、HPなど…)からの支援を受けてはじめて、Blender Foundation と Blender のコミュニティがどれだけ成長を続けているのかを披露できました。 少しずつ、ゆっくり、楽しいことをたくさん集め、私たちのアーティストにとって最良のフリー/オープンソース3D制作ツールを作成することに注力し続けていこうと思います。
Siggraph で助けてくださった皆さん:Sean 氏、Jonathan 氏、Wes 氏、Mike 氏、Francesco 氏、Patrick 氏、David 氏、Joseph 氏、Oscar 氏に感謝します!
Ton Roosendaal 2014年8月28日
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