Blender内部レンダラ改良プロジェクト:BEERと、アンケートのお願い(動画追加)

投稿日時 2013年11月01日 | カテゴリ: 技術・開発関連

Dynamic Stylized Shading Primitives - gallery video from dlyr on Vimeo.



Blenderには Blender 内部レンダラがありますが、最近は主に Cycles の方に機能が追加され、内部レンダラにはほとんどなくなりました。
しかし、NPR(Non Photo Realistic: フォトリアリスティック以外)やアニメーションの分野ではまだまだ利用価値があります。

BEER は NPR 分野に特化した、レイヤシステムを使用したシェーダを追加し、現存の Blender 内部レンダラを拡張するものです。

■BEERの概要


まずは LightBWK氏がメールで書かれていた簡単な紹介を引用します。

1. BEER はノードの代わりに(modo のような)レイヤシステムを使用します。

2. これは Photoshop の使用感に似ており、シェーダの設定が非常に簡単になります。

3. 各レイヤには個別にシェーディング用のコントロール係数があります。

4. 同様に(オブジェクト位置の参照のように)シェーディングはライティングやビュー、ノーマル、キーフレーム、その他パラメータでコントロールされます。

5. シェーダ・マテリアルは NPR でアニメーションされます。レイヤを使用するおかげで、ノードシステムに比べ、非常に簡単にアニメーションできます。たとえば、3つのマテリアルのレイヤからなる3色の球で、2つめと3つめのシェーダ・マテリアルがアニメーションできます。

この「非常に簡単にアニメーションできる」については、
1.設定が簡単である(ノードツリーに比べ理解しやすい)
2.アニメーションする設定が見つけやすい(探しやすい)
ということだそうです。

下の動画は、その動作を示すものです。



また、氏により、コンセプトを表現した blend ファイルも提供されています。

BEERLayeringConcept.blend

これは別々のオブジェクトで各マテリアルを表現しており、光源に対する各層(ハイライト、ディフューズ、リム、影)をそれぞれ自由にアニメーションできることを意味します。各面を選択し、[R]キーを二回押してみてください。




■BEERによるワークフローの恩恵


また、後述の要約では、BEER によるワークフローに対する恩恵として、以下が挙げられています。

1.リアルタイムプレビュー。F12によるシェーダのプレビューは必要なく、時間が節約でき、ライティングテクニカルディレクターとシェーダアーティストは喜びます。
2.エクスポート可能なシェーダプリセット。共有や改良が可能。
3.プリコンポジットスタイル。ポストプロセスからの解放。
4.GPU 統合。皆さん愛用の GPU を活用します!
5.直観的なワークフローによる限界のないスタイル。
6.低い入門のハードル。簡単に学べ、習得できます。




■2Dランプマップ


機能のもう一つの目玉は「2Dランプマップ」です。これは従来のノーマルやエネルギー量に対する輝度や色を設定できる、一次元のランプ(Ramp)を拡張し、二次元のランプを使用することで、距離や速さといったパラメータの影響を与えることができるというものです。例えば空気遠近法などに利用できそうです。

下記は BEER の提案書です。長いですが動画の添付も多数あり、割と理解しやすいと思います。
Blender Extended Expressive Rendering (BEER) Proposal

下記は BEER の動作についての要約です。
http://blendernpr.org/beer-a-wordy-leet-intro-august-2013/


■氏から皆さんへの質問


このプロジェクトにあたり、Light BWK氏から皆さんに質問があるそうですので、掲載させていただきます。

1. 普段、シェーダやマテリアルはどうやって設定していますか?

2. Blender でシェーダ・マテリアルを作成する場合、個人的に直面する問題は何ですか?

3. Blender の内部レンダラでご存じの制限は何ですか?

4. Blender のシェーダ・マテリアルシステムの改善できる部分はどこですか? もし何か改善の見本となる物をありましたら、添付またはリンクしてください。

5. Ton Roosendaal 氏は BI/BEER を最良の状態に保つため、もっと東洋の国(東アジア、東南アジア)の開発者を増やすことを提案しています。そのような能力のある、または興味のありそうな人をご存じですか


もし協力してもいいという方は、この記事のコメントにご投稿いただけるとうれしいです。締切は11月25日(日)。いただいたコメントは、要約・翻訳されて Light BWK氏に届けられる予定です。

また、もし開発に興味のある方は、Facebook の PMか、Google+ で氏に直接コンタクトをとってみてください。



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