Blender Compositor の超高速化

投稿日時 2010年11月17日 | カテゴリ: 技術・開発関連

元記事:Superfast Blender Compositor | BlenderNation

BNコミュニティレポーターによる記事です。

Blender Conference中、Jeroen Bakker氏は OpenCL で高速化したバージョンの Blender Compositor のデモを行いました。その結果は驚くべきものでした。



Jeroen Bakker氏曰く、

今年の Blender Conference で、私たちは新しいコンセプト、Blender OpenCL Compositor のデモを行いました。OpenCL(Open Computing Language)は、計算処理のため、複数のプロセッサユニットタイプ(グラフィックカード上にあるものなど)を使用する技術的標準の一つです。

テストシステムは、i7 920 Quad Core(3万円前後)とGT220(8千円前後!!!!)。ミドルレンジのプロセッサとミドルレンジのグラフィックカードです。このテストでは、Bokeh Blur や、Lens Distortion のような重いノードがいくつかあります。CPU での50×50ピクセルの Bokeh Blur は204秒かかりました。GPU ではこの処理は22秒です! 皆さんの目で動画を視聴、もしくは皆さんのシステムでテストしてみてください。まるでいいことづくめですが、これにはいくつか制限事項があります。






すべてのシステムで OpenCL を実行できるわけではなく、その場合、普通の CPU に戻らないといけません。普通の実装では、二つの別々のノードシステムを制作することになるでしょう。一つは OpenCL用、もう一つは CPU 用の物を。開発者にとって二つの Compositor システムの保守は好ましいものではないため、私たちは簡単に両方の Compositor の実装の保守を行える方法を設計しました。

現在の Compositor システムは、多くのコンピュータメモリを使用し、「共有メモリモデル」(すべてのプロセッサユニットが、必要なメモリすべてにアクセスできる、開発モデルの一つ)で設計されています。OpenCL はこのモデルに対応していません。その他の制限として、OpenCL の使用できるメモリ量の制限があります。このメモリはグラフィックカードの全メモリ量の25%に制限されています。この25%は OpenCL のオーバーヘッドによっても使用されます。

私たちは安定化と、将来の Blender バージョンへの統合を行いたいと思っています。以下にこのシステムのいくつかの特徴を。
[wiki]
-アーティストへのもっとダイレクトなフィードバック。最終画像が計算されたと同時にユーザに見せられるように(最終画像がユーザの目の前で構築される)。

-複数のグラフィックカードの同時使用。それでも速さが十分でないなら、単に新しいグラフィックカードにすればよい。

-Camera ソケットタイプと、"Input Camera File" ノードの導入。
[/wiki]
私たちはこのシステムを支援してくださるアーティストと資金援助を期待しています。

この実験的バージョンは、コミュニティからのフィードバックを得るため、そして別の OpenCL 実装とのベンチマークとしてリリースされました。ぜひお楽しみください。このリリースはデモ目的でのみリリースされていることにご注意ください。OpenCL が使用されているノードは以下のとおりです。
[wiki]
-Defocus ノード (カラー画像のみサポート、白黒画像は動作しません)
-Blur ノード (Bokeh チェックボックスがチェックされた時のみ)
-Color Balance
-Lens distortion
-いくつかの小ノード:Brightness、Rotate、Tonemap
[/wiki]
このバージョンは、Linux 64ビットのみ利用可能です。OpenCL Compositor を立ち上げるには、Blender をパラメータ、"-enable-opencl" をつけて実行してください。いくつかのテスト blend ファイルと、パッチも含まれています。


動画:Speedup of the defocus node



ダウンロード
Download Blender binary with OpenCL compositor for Linux 64 bit, also includes patch





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