Andrew氏による Ton Roosendaal インタビュー(日本語の要約を追加)

投稿日時 2010年09月29日 | カテゴリ: オープンムービー

元記事:Interview with Ton Roosendaal about Sintel | BlenderNation

BNコミュニティレポーターによる記事です。

Andrew Price氏曰く、

Sintelリリースまで後3日を残し、私はこの制作の背後にいる人物、Ton Roosendaal氏にインタビューする絶好の機会だと思いました。


氏は続けます。

このインタビューでは、Ton氏は以下を解説しています。

・チームが遭遇した最も大きな問題
・機会があれば、何を変更したいか
・次のオープン Blender ムービーのアイデア

インタビュー全文はこちら:
Interview with Ton Roosendaal




できれば簡単な要約を後日追加する予定です。

10/1:あまりまとまっていない要約を追加しました。

Q: Sintel のプロデューサーとして、何が職務でしたか?
(As the producer of Sintel, what were your duties?)

これについて Ton は、自分の主な目的は、みんなを集め、できるだけスムーズに、なおかつ高品質に映画が制作できるよう手助けすることであり、複雑な仕事ではあるけど、以前のプロジェクトからの経験とアイデアを生かし、監督やアートチームが専念できるようにしたと述べています。

Ton は最初から今日までいたそうで、チームの一部となったり、もしくは後押しすることで、初期の奮闘やさまざまな制限を乗り越え、多くの新しいことを学び、最後には、この映画は非常に満足できる経験となったとのこと。自分はこのチームに誇りを持ち、みんなも確実にそうだと語っています。


Q: Sintel のオリジナルのアイデアはどこから?
(Where did the original idea for Sintel come from?)

Tonによると、最初、オランダのファンタジーコミック作家、Martin Lodewijk氏に脚本の依頼を持ちかけてみたそうで、氏はシンデレラをテーマにしたアイデアを提供してくれたらしく、これは非常に愉快なもので、アマゾン族の女性だけの村の悪い継母とその馬鹿な娘たち、そしてヒロインの孤児の少女のストーリーだったそうです。ちなみにその少女は、ドラゴンのような助手を持っていたとのこと。

残念ながら、このストーリーは短編映画には長くて複雑だったため没になり、次のバージョンでは彼女だけはそのままに、長旅をしているジプシーがドラゴンを狩るようなものになり、Martin氏は彼女をオランダ語で "Cinder(燃えがら)" の、Sintel と名付けたそうです。

ただ、Martin氏はあまり時間がとれず、シナリオの構造にも不慣れだったため、シナリオの先生として Esther Wouda氏に、助言を求めたところ、氏と監督の Colin氏との相性がよく、Colin氏からの情報と David Revoy氏のコンセプトアートを元に、スクリプトを書いてもらえるよう依頼したそうです。


Q: 制作中、チームに起こった大きな問題などはありましたか?
(What major issues did the team encounter during the production?)

Ton 曰く「希望と能力との対立は常に大きなハードルとなる」そうで、私たちが切り抜けられるのだから、人々にも自信を持ってほしいとはいえ、新しいことに挑戦するには、明朗さと熱意も必要だろうとしています。
もう一度ほとんどが経験の少ないアーティストの、ほぼ完全に新しいチームを持っても、以前の二つのオープンムービーを超える何かを提供するという皆の期待に応えるのは難しかっただろう、とのこと。

幸運にも DVD プレセールと、助成金、スポンサーによる支援が得られたおかげで、プロジェクトの後半では経験者のアーティストを雇い、完成の手助けをしてもらうことができたようです。

また、新しくも不完全な Blender 2.5もあまり役にはたたなかったと明言しています。


Q. Sintel をもう一度やり直さなければならないなら、何が変わると思いますか?
(If you had to do Sintel all over again, what would you do differently?)

Ton自身は、このようなプロジェクトは人材に依存すること、そのときどきにおいて最善手を選択してきたと信じていることから、よくわからないと答えています。

理想としては、初期の段階から特にアートに長けている、もっと経験のあるデザイナーの手が欲しかったそうですが、その一方で、自分たちが切り抜けてきた経験も、人々が多くのことを学べる贈り物となるのではないか、という持論を述べています。

また、最初にいろいろあり、遅れが生じたが、2か月後にはそれが却っていい結果となったことから、シナリオの執筆と調節に時間を費やすことは必ずしも悪いことではなく、真の「自分の映画」を作って欲しい、としています。


Q: 制作の結果として、Blender はどれぐらい改良されていますか?
(How has Blender improved as a result of the production?)

これについては、大きな目標の一つに、Blender 2.5 の基本的な使いやすさを挙げ、Brecht氏と Campbell氏がほぼフルタイムでチームを支援していたとのこと。特に Brecht氏が Sculpt の改良やディスプレイスメント、グローバルイルミネーションなどの新機能で大幅な時間短縮ができたそうです。


Q: オープンムービーが経済的に実現可能なことは? スポンサーのために何ができるのでしょう?
(How are open movies financially feasible? What’s in it for the sponsors?)

ライセンスの制約にとらわれない、オープンな方法でコンテンツを制作したという事実が多くのスポンサーを引き付ける魅力になっているそうで、例えば4K版の作成のような、ニーズに合わせたカスタムコンテンツを彼らが依頼することもあるとのこと。

オープンコンテンツへの資金援助による恩恵は、徐々に企業間に根付きつつあるそうで、彼は Sintel の成功を、次のプロジェクトの誘因になれば、と語っています。

さらにいい意味で有名になっているため、スポンサーとしてクレジットされるといいPRになるよ! と宣伝しています。


Q: 4番目の Blender オープンムービー制作についてのプランは?
(Are there any plans to make a fourth open blender movie?)

これについて、Tonは、現在アイデアだけだけど、と前置きし、現在考案中のコードネーム、「マンゴー」について語っています。
彼によると、これは映画のビジュアルエフェクトにフォーカスしたもので、トラッキングツールや、よりリアルなライティングとシェーディング機能、先進的なグレーディングツールを持たせる予定とのこと。


最後のAndew氏による言葉によると、来週は Colin Levy氏のインタビューだそうです。



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