Durianでの内部レンダラの改良

投稿日時 2010年03月10日 | カテゴリ: 技術・開発関連

元記事:Durian ≫ Blog Archive ≫ Render Development Update

Brecht氏による記事です。

以前の私の記事で述べたように、4つの大きな変更が計画されています。シェーディングシステムのリファクタリング、インダイレクトライティング、パータイルサブディビジョン(per tile subdivision)、画像のタイル化/ミップマップキャッシュです。いつものように、実際にはこれらの計画は制作中においてすぐさま変更される可能性があります。そのため、ここでは計画上の更新といくつかの結果について話します。

インダイレクトライティングは元々ポイントベースメソッドの使用が目的でした。私はこれらのパフォーマンスが非常に期待はずれな物だと判りました。マイクロレンダリングメソッドは低解像度のグリッドでのみ上手く働きますが、これはノイズが多く、解像度が進むと、急激にパフォーマンスが下がり、あまりよくない状態になります。
そして Pixar の若干複雑なメソッドへと至ります。これはスケールは大きくなるものの、論文でのレンダリング時間はそんなにすごいものでもなく、実際、いくつかのレイトレーサは似たような画像をもっと早くレンダリングします。



スカイライトと Emit Material による Indirect lighting テスト




そのため、私はイラディアンキャッシュと組み合わせた、低解像度ジオメトリのレイトレーシングを試してみることにしました。新しい高速レイトレーシングコードにより、実現可能なパフォーマンスになると思われ、このコードは今、別の Render25ブランチで利用可能です。現時点ではパフォーマンスが充分かどうかまだ完全には判りかねますが、一時間平均約2000フレームに近づくでしょう。これはイラディアンキャッシュ、サンプル毎2000レイ、低解像度ジオメトリ、1 Bounce、一つもしくは少しの光源、そしてバンプマッピング近似のためのトリックで行います。これらはおそらく私たちが作業する時の制約となるでしょう。



裏通りのシーンでの Indirect lighting テスト、Sun とスカイライトを使用



パータイルサブディビジョンのプロトタイプ実装も現在テスト中です。まだ初期段階であり、影、テクスチャ座標、レイトレーシングなどが動作しませんが、すでにいくつかのテストが可能となっています。



パータイルサブディビジョンによりディスプレイスされた Monkey



シェーディングシステムについては、ノードベースシェーダの作業をしばらく行ってきました。しかし、Durian にとっての恩恵があまり大きくなく、多くの時間を費やしていたことがはっきりしました。Material をノードとしてもっと正確かつ柔軟に定義できるようになるのはいいのですが、綺麗な画像を非常に速くレンダリングする助けにはなりません。実際、現存の私たちの Material の変換にもっと多くの時間が取られてしまうでしょう。



新しいシェーディングノード ― これについてはもう少しだけ待たないといけないでしょう



このコードはまだコミットされていません。おそらく Durian 後まで待たないといけないでしょう。しかしながら、このコアレンダーエンジンコードは、私たちが簡単に別のマテリアルシステムをつなげることができるよう、更にリファクタリングが進行中です。これはこの作業の大きな部分の一つです。

イメージキャッシュはまだ実際には開始していません。私は OpenImageIO ライブラリを使用することを検討中で、これがいい決断かどうかまだはっきりとはわかりませんが、Blender 内に新たなイメージシステムが導入され、現存のコードがたくさん複製されるでしょう。
さらに画像だけがこの恩恵を受けるのではなく、例えば OpenImageIO の対象ではない Deep シャドウバッファも受けます。コードを再利用すれば、私たちは多くの時間が節約できるのです。



ディスプレイスメント用の Voronoi と Clouds Texture によりサブディバイドされた平面



その他の計画:
[wiki]-Indirect Light のレンダリングの高速化、Strand、バンプマッピング、ディスプレイスメントでの動作を改善する。

-プロトタイプを越えるための、更なるパータイルサブディビジョンの実装作業。

-OpenImageIOが使用できるか、そしてこれもしくは私たちのタイル/ミップマップキャッシュシステムのいずれかが使用できるか、の検討。
[/wiki]
Brecht





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