今年の Google Summer Of Code のプロジェクトが発表
投稿日時 2007年04月13日 | カテゴリ: Blender.org
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元記事:Google Summer of Code- And the Winners are… at BlenderNation
B@rt氏による記事です。
Google 曰く ― 今年の夏は、Blender のプロジェクトで働く5人の生徒に出資するとのことです。勝ち抜いたプロジェクトはみんな Blender を大きくアップグレードしてくれるものばかりです。以下はその詳細です。
去年の結果は若干期待はずれでしたが、Blender Foundation のチャットルームで Ton や Chris と話をしたところでは、皆その結果に満足している様子でした。30の申し込みを Ton が本当に必要だと判断した約15に絞りました。 Blender Foundation を代表して活動のまとめ役をする予定の Chris Want 氏はこう語っています。
今年は素晴らしい申し込みがたくさんあり、決定を下すのが非常に困難でした。私は私たちが選んだ人たちが、Blender に実際に恩恵をもたらすであろうと思っています。私たちは今年5つの申請が通ったことに驚いています ― Google に深く感謝します!
コーディングは5月28日から始まります。GSoC の終了はこちらをご覧下さい。私たちはこれらのプロジェクトの進行状況の、このサイトへの定期的な掲載に最善をつくしたいと思います。
以下は Google SoC ページからのプロジェクトの短い説明と、BlenderArtists のスレッドの BlackBoe氏の解説コメントを掲載しました。
承認された皆さん、おめでとう!私たちは誇りに思っています。
Proposal to implement deep shadow maps and a tiling disk cache in Blender (Blender でのディープシャドウマップとタイリングディスクキャッシュの提案) Joseph Eagar氏、メンター:Martin Poirier氏
これはミップマップ、モーションブラー、カラーシャドウ、フィルタリングなどを含む、 Blender へのディープシャドウマップの実装の提案です。また、汎用のディスクキャッシュメカニズムも実装される予定です。
ディープシャドウマップは高品質な影を生成する高度なテクニックの一つです。追加のサンプルと透明度を影の中に格納にすることにより動作し、シャドウマップに、ミップマップやモーションブラーのような高度なテクニックを適用することができるようになります。
ディープシャドウマップはメモリを消費するため、汎用のタイリングディスクキャッシュも実装される予定です。このシステムはシンプルにシャドウマップタイルを必要に応じてディスクとスワップし、ユーザが設定した最大 RAM 消費量をキープするものとなるでしょう。
BlackBoe:
ディープシャドウマップは髪の毛や塊状の物に有効で、通常のシャドウマップに比べ、色付きの透過、モーションブラー付きの影など、すべての面において優れており、より精細です。よりスペースを必要としますが、彼はそのためにスワップ機構を作成しようとしており、RAM を大量に使い果たすことはないでしょう。
A Render API for Blender (version 3) (Blender 用 Render API(バージョン3)) Aaron Daniel Moore氏、メンター:Ton Roosendaal氏
現在の Blender のデータベースをレンダーデータに変換するシステムは厄介で、二つの重要な問題を抱えています。一つめは、システムの保守が困難なことです。Blender に変更があった場合、レンダリングの新しいデータをエクスポートするために十分なモジュールが作成されていません。代わりに、現存するエクスポートコードの、変更が必要な個所を探さなくてはなりません。 二つめは、外部レンダラとの統合が難しいことです。私は現在のシステムにとって代わる Render API を提案します。現在の設定の一番大きな問題は、構造の欠如です。そのため、最も大きな変更として、ちゃんと定義された、ドキュメント化されたプロトコルをここに作成するつもりです。そのアクセスと Blender Scene のエクスポート用を容易にする関数の提供することにより、両問題を解決したいと思っています。
現在の Blender とレンダラとのインタフェイスになるシステム(ほとんどは convertblender.c 内)は二つの別々の仕事を処理するシステム、Render API とエクスポータに置き換えたいと思います。プラグインシステムが作成されるため、DLL/SO プラグインの入れ替えにより、Blender は内部と繋がるレンダラを切り替えることができるようになります。Blender の内部レンダラと API で繋がるようコードを作成し、現存のシステムの置き換えを達成していきます。更に、Render API の詳細なドキュメントをオンラインに公開し、外部レンダラ用エクスポータプラグインの作成の手助けをします。
BlackBoe:
Render API。現在、Blender の内部レンダラは Blender と一つの大きな塊として結びついており、からみあい、めちゃくちゃに混乱し、繋がっていない電線がはみ出ていたりします。どんな人でもレンダリングシステムについてどんな作業をするのが辛くて嫌になります。この API はすべての繋がっていない電線を、標準化された「プラグ」に繋ぎます。これで管理が容易になり、Indigo、Sunflow、YafRay、Renderman などの、非常に多くのレンダラ用の、より高速、低コスト、簡単、効率的なアドオンが可能になります。
Blender audio system cleanup and upgade (Blender の音声システムクリーンアップとアップグレード) Csaba Hruska氏、Mentor:Robert C. Holcomb Jr.氏
主な目的はサウンドシステムライブラリというよりむしろ、Blender のソースから、他のサウンドコードへの参照をすべて取り除くことにあります。 その他の仕事は、API を変更せずに、不必要な依存(Fmod、OpenAL)をサウンドシステムコードから取り除くことです。 使用するライブラリは SDL だけとします。複数のプラットフォームでのサポートが優れているからです。OpenAL は Verse プロジェクトのオーディオシステムコードで置き換えられる予定です(コードは Verse Blender のソース内で利用可能)。
BlackBoe:
Blender のオーディオシステムのアップグレード。現在の Blender のサウンドシステムは古い道具箱のように半端な物や、便利でないけれど、投げ捨てようとする人も、その時間もないような、旧態依然のジャンクでいっぱいです。これは基本的なクリーンアップとアップグレード作業ですが、現状を考えると時間がかかりそうです。
A GLSL Shader Editing and Preview System for Blender (Blender 用 GLSL シェーダ編集とプレビューシステム) Miguel Torres Lima氏、メンター:Brecht Van Lommel氏
このプロジェクトの目標は、GLSL プログラマブルハードウェアシェーダを使用し、Blender の現在の 3DView での Material 表示向上のサポートを実装することです。グラフのそれぞれのノードを、リアルタイムで表現するシェーダの断片を組み合わせるシステムを実装し、それらの断片から GLSL のシェーダを生成することにより、Blender の 3DView のリアルタイム Material プレビューで、ノードベースの Material をサポートするよう拡張します。つまり、Blender の Material ノードを表現する GLSL シェーダを作成するということです。
もし時間が残って可能であれば、更なる目標として、汎用の GLSL シェーダノードを作成し、ユーザが Blender の Text エディタで、自身のシェーダを作成できるようにしたいと思います。Material ノードネットワークの、GLSL コードのインポート・エクスポートできるようにしたり、Blender のスクリプトシステムや来るべき PyNode API との統合ができるようにします。
BlackBoe:
GLSL シェーダ編集とプレビュー:基本的に、Blender の 3DWindow の Material 描画方法の大きな改良であり、今回は GLSL ピクセルシェーダを使用します。恐らく 'Texture モード' に比べ、激しくよくなることでしょう。
Mesh bevel and offset tools/modifiers (Mesh 用べベル、オフセットツール・モディファイア) Levi Schooley氏、メンター:Geoffrey Bantle氏
工業モデリングやレンダリングでは非常に重要な、べベルされた Edge を作成するツール。ただし、アーティストがその処理をできるだけ多くコントロールできるようにすることも重要です。モデリング中、アーティストが選択された Face/Edge/Vertex にベベルできるようにし、適切なベベル方法を選択可能に、そして的確な設定と、最終結果の表示をリアルタイムでできるようにします。 また、ベベル結果の生成用の Mesh の広範囲なテクニックは、レンダリングの大部分において非常に便利になるでしょう。このツールは Edge Crease 値や、VertexGroup、(Face の繋がっている角度と、Face の面積の大きさを元にした)パーセンテージをベースとしたベベルオプションを持つ、モディファイアの一つとして実装するのが最適だと思われます。
更に、趣向が共通し、恐らく似たようなアルゴリズムである事実に基づくと、パラレルオフセットツールの作成は、工業モデリングの大きな利益となるでしょう。パラレルオフセットツールは、結果のサーフェス上のポイント群を、できるだけオリジナル Mesh と等距離に保持しようと試みつつ、Mesh の面積・容積を増加・減少させます。
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